こんにちは、ジンです。
今年は薬剤師の2年に1度の届出の年ですね。
薬剤師は2年に1度、12月31日現在の氏名や住所、従事先等の情報を、厚生労働大臣に届け出なければなりません。
今年は届出の年ですので、2022年12月31日現在の情報を2023年1月16日までに届け出ることになります。
次回は2024年届出(届出期限:2025年1月15日)です。
2年に1度しか届け出ませんので、ついついその存在を忘れてしまいがちですよね。

私の先輩もすっかり忘れていました。(小声)

あん?
本ページでは、薬剤師の2年に1度の届出についておさらいするとともに、
- 前回(2020年届出)と今回(2022年届出)との変更点
- 届出票の提出期限
- 届出しないとどうなるのか(罰則、デメリット)
- 期限を過ぎても届出可能か?
等々について網羅的にご紹介します。
※届出票の記載方法については、厚生労働省ホームページに記載要領や記入例がありますので参考にしてみてください。余力があればどこかで詳細な解説をしたいと思っていますが、記載要領や記入例が十分参考になると思います。
薬剤師の2年に1度の届出とは?
薬剤師には、2年ごとの12月31日現在における氏名や住所、従事先等の情報を、翌年1月15日までに厚生労働大臣に届け出る義務があります。
※2022年12月31日現在の情報は、2023年1月16日までに届出が必要です。詳しくは届出票の提出期限をご確認ください。
このルールは、薬剤師法とその施行規則にて定められています。

法律でルールの大枠を定めて、厚生労働省令でルールの運用について補足されているという構造になっています。
大事なことは次の3点ですね。
- 今年(2022年)が届出の年であること
- 様式第6を用いて届出をすること
- 届出には期限があること
参考までに実際の条文を載せておきます。
(届出)
薬剤師法 第9条 (令和4年法律第44号による改正後、2022年8月20日施行)
薬剤師は、厚生労働省令で定める2年ごとの年の12月31日現在における氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年1月15日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号)第6条第1項の規定により当該届出を同項に規定する電子情報処理組織を使用して行うときは、都道府県知事を経由することを要しない。
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。
(届出)
薬剤師法施行規則 第7条
1 法第9条の厚生労働省令で定める2年ごとの年は、昭和57年を初年とする同年以後の2年ごとの各年とする。
2 法第9条の規定による届出は、様式第6による届出票を提出することによつて行うものとする。
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。
前回と今回との変更点
前回(2年前)の届出と、今回(今年)の届出とで、いくつか変更点がありますのでご紹介します。
変更点は、次の4点です。
- 届出票「(1)住所」中「市郡 区 町村」が追加記載
- 届出票「(4)生年月日」の「令和」が削除
- 届出票「(12)大学名等」のうち55番を「大阪医科薬科大学」に変更
- オンラインでの届出が可能になった
以下、ひとつずつ確認していきましょう。
※他にも「届出票の項目欄の背景が灰色になって見やすくなった」ことが挙げられますが、どうでもいい話ですね。
届出票「(1)住所」中「市郡 区 町村」が追加記載
まずは1つ目です。
あまり重要なことではありませんが、届出票の「(1)住所」の欄が変わりました。


これまでは住所を丸々コピー&ペーストで入力することが出来ましたが、
市、区、町でいったん区切って記載しなければならなくなりました。面倒になりましたね
届出票「(4)生年月日」の「令和」が削除
続いては2つ目です。同じく届出票の様式の変更です。
「(4)生年月日」の欄で、元号「令和」が削除されました。

2019年5月の新元号施行にあわせて、勢い余って「(4)生年月日」の欄に「令和」を追加してしまいましたが、ふと冷静になって2022年10月の改正で「令和」が削除されています。

令和生まれの薬剤師が登場するのはまだまだ先のことですね。
法令は無駄な記載を嫌いますから、令和生まれの薬剤師が登場するようになるまでは、「令和」の記載項目は必要ないということでしょう。
現在の法制度に変更がなければ、令和26年(2044年)の4月には令和生まれの薬剤師が登場します。
その時までは、「(4)生年月日」には「令和」は不要ですね。
届出票「(12)大学名等」のうち55番を「大阪医科薬科大学」に変更
3つ目の変更も同じく届出票の様式の変更です。
「(12)薬剤師免許取得の際に薬学過程を修めた大学名等」の欄中、
「55 大阪薬科大学」が「55 大阪医科薬科大学」に変更されました。


「大阪薬科大学」を卒業された薬剤師さんは注意が必要ですね。
2021年4月付けで「大阪薬科大学」と「大阪医科大学」が合併し、「大阪医科薬科大学」が誕生しました。これに伴い、届出票の項目が「55 大阪医科薬科大学」に変更になっています。
2021年3月以前に「大阪薬科大学」を卒業して薬剤師になられた方は、今回の届出から「55 大阪医科薬科大学」を選択して届け出る必要があります。
オンラインでの届出が可能になった
変更点の最後、4つ目です。
これまでの薬剤師の届出では紙で届出票を提出していましたが、近年のオンライン化の流れに合わせて、今回の提出分からオンラインでの提出も可能になりました。
「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和4年法律第44号)」による改正で、薬剤師法にオンライン提出に関する規定が盛り込まれたため、オンラインによる厚生労働大臣への直接提出が可能となっています。
…ただし、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号)第6条第1項の規定により当該届出を同項に規定する電子情報処理組織を使用して行うときは、都道府県知事を経由することを要しない。
薬剤師法 第9条 (令和4年法律第44号による改正後、2022年8月20日施行)
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。
オンライン提出のやり方については、厚生労働省のホームページに詳しく掲載されていますのでここでは割愛します。
※オンライン提出のシステムに不具合があったようです。12月24日~26日にシステムが再び利用可能になるようです。
※オンライン提出のシステムに不具合があったようですが、12月26日時点で解消されたようです。

早期に復旧して、よかったですね~
変更点については以上になります。
届出票の提出期限は2023年1月16日
続いては届出票の提出期限についてです。
今回の薬剤師届出の提出期限は2023年1月16日です。

あれ?法律には1月15日って書いてなかったっけ?

そうですね。
でもカレンダーを見ると、2023年1月15日は日曜日なんですよ。

あ、なるほど、あれね。休日の場合は翌営業日になるやつね。
と、いうことで、薬剤師法上では2023年1月15日と書かれていますが、
休日の特例規定により、今回の提出期限は2023年1月16日となります。
ちなみに休日の特例規定は、「行政機関の休日に関する法律」という法律で定められています。
(期限の特例)
行政機関の休日に関する法律 第2条
国の行政庁(各行政機関、各行政機関に置かれる部局若しくは機関又は各行政機関の長その他の職員であるものに限る。)に対する申請、届出その他の行為の期限で法律又は法律に基づく命令で規定する期間(時をもつて定める期間を除く。)をもつて定めるものが行政機関の休日に当たるときは、行政機関の休日の翌日をもつてその期限とみなす。ただし、法律又は法律に基づく命令に別段の定めがある場合は、この限りでない。
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。
薬剤師法で定める2023年1月15日は、行政機関の休日(日曜日)に該当しますので、
その翌日2023年1月16日が提出期限となります。
焦らず慌てず、提出期限内に提出しましょう。
届出しないとどうなるのか(罰則、デメリット)
最後に、届出をしないことによる罰則やデメリットについてご紹介します。
罰則、デメリットは次の2点です。
- 50万円以下の罰金
- 薬剤師資格検索システムに載らなくなる
50万円以下の罰金
まずは罰金についてです。
上述のとおり、薬剤師の2年ごとの届出は法律で規定されているルールです。
法律で規定されているということは、届出をしないことに対しての罰則規定が存在しています。
次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
薬剤師法 第32条
…
三 第9条の規定に違反した者
…
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。
「第9条の規定」というのは「薬剤師は…届け出なければならない」という規定のことですね。
届け出なかった薬剤師については、罰金刑の対象となります。
罰金刑は薬剤師免許の相対的欠格事項に該当しますので、戒告や業務停止、最悪の場合には免許取消しの対象にもなり得ます。気を付けましょう。
しかしながら、届出を忘れた程度のことで罰金刑を受けたような話は聞いたことがありませんので、そこまで不安に思う必要はないと思われます。
薬剤師資格確認検索システムに載らなくなる
続いては、罰則ではありませんが最大のデメリットです。
届出を怠ると、薬剤師の資格確認検索システムに載らなくなります。
厚生労働省は、薬剤師資格の確認や医療に関する適切な選択ができるように、
薬剤師の氏名、性別、登録年※等を資格確認検索システムにて公表しています。
※政令では「登録年月日」と規定されていますが、厚生労働省の方針により?実際には「登録年」までが公表されています。
今回届出した分については、2023年の12月以降に「資格確認検索システム」に反映されます。
(薬剤師の氏名等の公表)
薬剤師法 第28条の2
厚生労働大臣は、医療を受ける者その他国民による薬剤師の資格の確認及び医療に関する適切な選択に資するよう、薬剤師の氏名その他の政令で定める事項を公表するものとする。
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。
法第28条の2の政令で定める事項は、次のとおりとする。
薬剤師法施行令 第14条
一 薬剤師の氏名及び性別
二 薬剤師名簿の登録年月日
三 法第8条第1項第1号に掲げる処分に関する事項(当該処分を受けた薬剤師であつて、法第8条の2第1項の規定による当該処分に係る再教育研修の命令を受け、当該再教育研修を修了していないものに係るものに限る。)
四 法第8条第1項第2号に掲げる処分であつて次のいずれかに該当するものに関する事項
イ 厚生労働大臣が定めた業務の停止の期間を経過していない薬剤師に係る処分
ロ 当該処分を受けた薬剤師であつて、法第8条の2第1項の規定による当該処分に係る再教育研修の命令を受け、当該再教育研修を修了していないものに係る処分
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。
資格確認検索システムに載らなくても、普段生活している中では大した影響はないかもしれませんが、入社採用時に採用担当の方が意外と確認していたりしますので、載っているに越したことはありません。
また、患者さんの中には、薬を調剤してくれた薬剤師が「本当に薬剤師なのかどうか」確認するような方もいるという話も聞きますので(私のことですw)、患者さんが不安にならないよう載せておくのがよいと思います。
資格確認検索システムに氏名が載っていようが載っていまいが薬剤師であることには変わりありませんので、薬剤師として働くことは可能です。ただ、不安に、不審に、思われないためには載せておくのが吉と思います。
以上で薬剤師の届出についてはおしまいです。
今年の届出期限は2023年1月16日です。忘れないように届出をしたいと思います。
追記:届出票に記入してみました(記入様式あり)
厚生労働省のサイトから、紙で提出する用のExcel様式をダウンロードして記入してみました。

前回のExcel様式は楷書体で美しくて、とてもカッコよかったのですが、今年のは、、、、、、
ということで、文字のフォントや大きさ、左右上下揃え等を修正してみました。
・今年も紙で提出するよー
・これから記入するよー
って方はぜひ利用してみてください。
※項目の記載等は一切変更せず、文字のフォントや大きさ、左右揃え等を変更しています。
※厚生労働省の記入例の通り記入していますので「(15)備考」の欄も記入しています。
該当しない方は「(15)備考」の記入欄を空欄にしてください。
本ページに掲載の様式の利用に不安を感じる方は、厚生労働省サイトのWord様式をぜひ利用してみてください。Excel様式と比べて、Word様式の方が記入しやすかったです。
全項目に記入できたら、印刷して近くの保健所に持っていきましょう。
自宅または仕事先の住所地を管轄する保健所に提出します。(さいたま市浦和区在住、新宿区勤務の場合は、「さいたま市保健所」か「新宿区保健所」のどちらかに提出しましょう)
管轄する保健所については、厚生労働省ホームページで確認可能です。
本ページではここまでにしたいと思います。ありがとうございました!

今年はオンライン化の対応もあり、担当者もExcelまで手が回らなかったのかもしれませんね。
お役所なんだからしっかりしt… おや?こんな夜中に誰か来たようだ
追記:期限を過ぎても後から届出できる?
既に届出期限の1月16日を過ぎましたが、まだこのページへのアクセスが途切れません。
もしかして、まだ、届出票を提出していない薬剤師さんがいらっしゃるのでしょうか?
既に期限を過ぎていますが、まだ提出できる可能性があります。期限を過ぎた後の提出について詳細を調べましたので、備忘録的にまとめておきます。
- まずは提出先の保健所に、まだ提出が可能かどうか確認。
- 提出があまりにも遅すぎると受理してもらえない。
まずは提出先の保健所に、まだ提出が可能かどうか確認
紙で提出する場合は提出先は各保健所ですので、まずはまだ提出が可能かどうか保健所に直接確認しましょう。
各薬剤師が保健所に提出した届出票は、都道府県庁(保健所によっては市役所、区役所を経由する)へと転送されます。
都道府県庁へ転送された届出票は、内容を確認の上取りまとめられて、厚生労働省へと送られます。
各行政機関への転送期限が厚生労働省の通知によって定められています。


届出票が保健所から都道府県庁(または市役所、区役所)へと発送される日までなら、
提出が遅れても受け付けてくれそうですね。
届出票の提出先の保健所が、
「市または区が設置する保健所」の場合には、2023年1月25日まで。
「都道府県が設置する保健所」の場合には、2023年1月31日まで。
であれば、ほとんどの場合は受理してもらえると思われます。
ただし、本来の提出期限は既に過ぎていますので、まずは速やかに提出予定の保健所に確認をとりましょう。
なお、提出予定の保健所が「市または区が設置する保健所」であるか「都道府県が設置する保健所」であるかは、厚生労働省ホームページで確認できます。

- 設置主体が「○○市」「○○区」の場合は「市または特別区が設置する保健所」です
- 設置主体が都道府県の場合は「都道府県が設置する保健所」です
同ページには各保健所の電話番号も載っていますので、窓口の営業時間を確認してから電話してみましょう。
とにかくまずやることは、提出先の保健所に電話で確認をとることです。
提出があまりにも遅すぎると受理してもらえない
上記のとおり、1,2週間程度の提出遅れであれば、届出票を受理してもらえる可能性が高いです。
しかしながら、あまりにも提出が遅くなってしまった場合には受理してもらえません。受理してもらえない場合には、次回の2年後の届出を待つしかありません。
受理不可となる期間の目安ですが、2023年12月を過ぎてしまった場合、届出票を受理してもらえる可能性は限りなくゼロに近くなるでしょう。
というのも、薬剤師の2年毎の届出の主目的である「医師・歯科医師・薬剤師統計」は、毎回12月頃に作成、公表されるからです。
例年通りであれば今回の届出でも、2023年12月頃に「医師・歯科医師・薬剤師統計」が作成、公表される予定です。
今回の届出の集計結果として「医師・歯科医師・薬剤師統計」が公表されているかどうかは、厚生労働省ホームページで確認できます。
なお、届出の内容が「資格確認検索システム」に反映されるのも、同じ頃(2023年12月)です。
※今回届出しなかった薬剤師の資格情報は、例年通りであれば、2023年12月頃にシステムで検索できなくなります。
※検索できなくなっても、薬剤師資格を失ったわけではありませんのでご安心ください。
医師の2年届出の場合、届出を忘れた際に申請書を提出することで「医師等資格確認システム」に氏名を再掲載してもらうことができる救済措置があります。しかしながら、薬剤師の場合は救済措置について言及している行政機関はありませんでした。
何はともあれ、受理可能かどうか悩んでいる暇があったら、まずは保健所に確認しましょう。
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