項番とアスタリスク*が逆になってしまう【電子添文SGML】

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こんにちは、ジンです。

体外診断用医薬品の電子添文を改訂する際、電子添文のHTMLページで、項番とアスタリスク*が逆になってしまう現象を発見しました。

図1. 「SGML入力支援ツール」で「改定情報設定」すると(上)、HTMLページで項番(1)とアスタリスク*が逆になる(下)

本ページでは、

  • この現象が起きる原因
  • 対処方法
  • そもそも*の位置はどこが正しいのか?

について、まとめたいと思います。

項番とアスタリスクの位置が逆になってしまう原因

項番とアスタリスクの位置が逆になってしまう原因は大きく2つあります。

どちらも企業側で制御できるものではありません。

※原因については少し細かく書きます。得意でない方は読み飛ばしてください。

【原因①】アスタリスク*が文章の中に含まれてしまうから

1つ目の原因は「体外診断薬SGML作成ツール」で「改定情報設定」したときに、*が文章の中に含まれてしまうからです。

 

自社でSGMファイルを作成する際には、PMDAが出している「体外診断薬SGML作成ツール」を利用するかと思います。

ジン
ジン

自力でSGMLを書いている方がいたら凄すぎます。ご教授賜りたいくらいです。

通常の手順だと「体外診断薬SGML作成ツール」を使ってWordファイル(docx形式)を読み込み、必要な個所を修正したあとに、「文書 SGML作成」をしますよね。

「文書 SGML作成」をすると「体外診断薬SGML作成ツール」による文書の構文チェックが行われ、無事チェックを通過するとWordファイルからSGMファイルが作成されます。

SGMファイルが作成される時に1つ目の原因が発生します。

「体外診断薬SGML作成ツール」で「改定情報設定」した場合、項番には独自のSGMLタグが付きますが、*は文章の中に含まれてしまうのです。

図2. 「体外診断薬SGML作成ツール」で「改定情報設定」すると(上)、SGMLでは*は文章に含まれる(中)、ホームページ上は項番→文章の順番になる(下)

これをホームページ(HTML)上で確認すると、「(1)*検体は、…」という風に(1)と*の順番が逆になって表示されてしまいます。

これが1つ目の原因です。

【原因②】DTDファイルで定義されていないから

2つ目の原因としては、DTDファイルで定義されていないことが挙げられます。
※DTD:Document Type Definition(文書型定義)

 

電子添文をPMDAのホームページに載せるときにはSGMファイルをアップロードしますが、SGMファイルはそのままでは人間様が理解できるようなものではありません。

HTMLという形式に変換されてホームページ上に表示されることで、ようやく人間様が理解できるようになります。

この変換の時に役に立つのが、DTDファイルです。

例えば、作成されたSGMファイル中には「<low2subitem>」というタグがあります(上図2の赤い丸のこと)。
SGMファイルの<low2subitem>を見ただけでは何のことなのか全く分かりません。

DTDファイルは「<low2subitem>というタグがあるからレベル2の項番だよ。項番には()が付くよ。」
ということを定義することで、SGMLからHTMLの変換を助けています。

他にも、

「<serialno>というタグがあるから、項番が付きますよ」
「<detail>というタグの中には、文章が入りますよ」
「<serialno>と<detail>は、<serialno>→<detail>の順番じゃないとダメですよ」

というようなことがDTDファイルで定義されています。

同じように*を入れておくSGMLタグ<mark-of-revision>も存在します。でも残念なことに<mark-of-revision>タグは決まった場所でしか使えないのです。

 

DTDでは次のように定義されています。

「<mark-of-revision>タグの中には、アスタリスク*が入りますよ」
「<mark-of-revision>タグは「作成・改訂年月」の項でのみ使えますよ」

 

現在のDTDファイルでは「作成・改訂年月」の項でしか<mark-of-revision>タグが使えないような設定になっています。

ですので、「取扱い上(危険防止)の注意」の項では<mark-of-revision>タグが使えず、仕方なく<detail>タグの中に文章の一部として*を含めてしまっている状態です。

 

ということで、2つ目の原因は、DTDファイルで定義されていないためということでした。

対処方法

上記2つの原因については我々下々の者ではどうにもできません。
我々に出来るとしたら意見書なり要望書なりを提出して機能修正を待つのみです。

しかしながら、現行の機能の中でも、項番とアスタリスクの順番を直す方法があります。

順番を直すことでデメリットもありますので、必要に応じて修正すると良いでしょう。

図3. 項番を文章の中に含めてしまえばOK(上)、しかし項番の位置がズレてしまうデメリットがある(下)

デメリット

項番とアスタリスクの順番を直すことによるデメリットとしては、項番の位置がズレてしまうために、見た目が美しくなくなってしまうということです(上図3を参照)。

Wordでインデント機能を使わずに、ベタ打ちしているのと同じような状態になります。
大変美しくないですね。

ジン
ジン

世の中には本当に色々な人がいますよね。
インデント機能を使わずにスペース連打で文頭をそろえるとか…

先輩
先輩

心に刺さるからやめて…

ただ、デメリットとしてはこれくらいです。

項番の位置のズレを許容できるのであれば、試してみる価値はありますね。

修正方法

いよいよ、修正方法です。

皆さん、「体外診断薬SGML作成ツール」を説明書通りに利用している方々は、「項番操作」機能で「項番設定」をしていることでしょう。

項番設定されているかどうか確認

まずは、項番設定がされているか確認してみましょう。

項番設定されているかどうかの確認は、項番を左クリックすることで確認できます。左クリックしたときに項番の背景が灰色っぽくなったら項番設定がされています。

図4. 「項番設定」機能の場所と「項番設定」されているかどうかの確認方法

図4では、2つの同じ文章が並んでいるように見えますが、上は「項番設定あり」の文章で、下は「項番設定なし」の文章です。

項番を左クリックするまで、見た目では全く見分けがつきません。

項番解除する

「項番設定あり」であることを確認したら、該当する文章を選択して「項番解除」します。

図5. 文章を選択して「項番解除」する

項番解除が成功すると項番が消えますので、各自で項番を打ち込みます。

図6. 「項番解除」すると項番が消えるので、自分で打ち込む

以上です。

 

該当する箇所すべての修正が済んだら、「文書 SGML作成」をしましょう。

項番とアスタリスクの位置が直ったSGMファイルが出来上がります。

アスタリスク*の正しい位置はどこ?

アスタリスク*の位置を修正する方法は分かりましたが、ここで疑問が浮かびます。

そもそも電子添文(電子化された添付文書)を改訂するときには、どこにアスタリスク*を付けるのが正しいのでしょうか?

改訂する際のルールについては、厚生労働省の通知にて定められています。

  • 【局長通知】体外診断用医薬品の電子化された添付文書の記載要領について(令和3年6月11日薬生発0611第5号)
  • 【課長通知】体外診断用医薬品の添付文書の記載要領について(平成17年3月31日薬食安発第0331014号)

2つの通知から、改訂箇所についてのルールを図7に抜き出してみます。

図7. 改正箇所についてのルールの比較(局長通知と課長通知)

どちらも大体同じようなことを言っていますね。局長が大まかなルールを決め、そのルールの範囲内で課長が詳細なルールを決めてるというのが一般的です。

ただし、どうやらアスタリスクの位置については局長と課長の指示が異なっているようです。
アスタリスクの位置について抜き出してみます。

【局長通知】【課長通知】
字句、項目等のうち該当する箇所の右肩に「*」印記載を行った箇所には、例えば「*」印やアンダーライン

課長通知では<記載例>が示されており、<記載例>では
 「*」印は改訂個所の文頭(左側)に表示されている。
表1. アスタリスク*位置の比較

課長通知の<記載例>は、次の図8の通りです。

図8. 課長通知の<記載例>では、アスタリスク*は改訂個所の文頭(左側)に表示されている

局長さん(上長)と課長さん(部下)のおっしゃってることが一致していないため、我々下々の者はどちらに従えばよいのか迷ってしまいますね。

「長い物には巻かれろ」精神で右肩に*を付けるのか、それとも<記載例>に従って文頭(左側)に*を付けるのか?

・・・

正直どちらでもよいと思います。
どちらにしても「通知に書いてあるから」という言い訳ができるから根拠があるからです。

実際にPMDAの添付文書サイトでPDF版の電子添文を確認してみると、文頭(左側)に*を付けている企業が非常に多かったですね。(*右肩派の存在はパッと見、確認できませんでした。)

ちなみに私の勤務先でも、PDF版の電子添文では<記載例>に従って文頭(左側)に*を付けています。

 

はい、ということで、アスタリスク*の正しい位置についてまとめます。

アスタリスク*の正しい位置は…
  • 「長い物に巻かれたい」方は、改訂個所の右肩に*印を付けるべし!
  • マジョリティ至上主義の方は、改訂個所の文頭(左側)に*印を付けるべし!

どっちでもOKです。

ジン
ジン

多数決の原理、少数派の権利。民主主義ですね。

先輩
先輩

はぁ?

そもそもの話、「体外診断薬SGML作成ツール」を説明書通りに利用すると、

  • 「【使用上又は取扱い上の注意】」など、元々設定されている項目は*が右側に表示され、
  • 「(L1)項目」や「(L1_内容)」など、自分で追加した行では*が左側に表示される。

ような仕様になっていますので、右であろうと左であろうと本当にどっちでもいいんだと思います(下図9参照↓↓)。

図9. 元々設定されている項目は*が右側に、自分で追加した行では*が左側に表示される
先輩
先輩

ほぇーー

ただ、一方で、残念ながら、改訂個所の文頭(左側)に*印を付けるとした場合に、項番の前が正しいのか、項番の後ろが正しいのか、<記載例>には示されていませんでした。

まとめ

PMDAの「SGML入力支援ツール」を説明書通りに正しく使用していると、項番の後ろに*印が付きます。

つまり、図1<再掲>のようになります↓↓

図1. <再掲>

「項番とアスタリスクの順番なんて気にならないよ」という方はそのままにしておけばいいですし、

PDF版の電子添文はアスタリスクが左側なんだから「HTMLでもアスタリスクは一番左側に決まってるだろ」という方はデメリットを踏まえた上で修正してしまえばよいと思います。

 

正直どっちでもいいよーというお話でした。

めでたし。めでたし。ん?

ジン
ジン

ありがとうございました!

添付文書の改訂箇所の示し方については下記の記事もご参考ください。

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