こんにちは、ジンです。
以前、別のページで薬機法責任者の英語表記について書きました。
このサイトに訪れる皆さん、けっこう英語表記に飢えていらっしゃる方が多いようで?
医薬品医療機器等法関連の英語特集をやってほしいとお問い合わせをいただきました。
問合せいただくと「読者の存在」が認知できるので大変励みになります!ありがとうございます!(英語は専門外なのですがね…汗)
※お問合せいただく際にはお問い合わせされた個人情報の収集をご一読ください。
今回はその英語表記第1弾として、「医薬品医療機器等法」という法律の名前の英語表現について書いてみたいと思います。
1分1秒を争っている記事を読む時間がない方は、目次から「5.英語表記のまとめ」へ飛んでください。
本ページを読むと次のような疑問が解決できます。
- 医薬品医療機器等法の正式名称とその英語表現は?
- 「医薬品医療機器等法」は英語でどう書くの?
- 「薬機法」みたいな省略形はあるの?
- 改正前の「薬事法」は英語でどう書いていたの?
それでは張り切っていってみましょー!
※本ページでは日本法令外国語訳データベースシステム(法務省)を参考に、医薬品医療機器等法に関する英語表現をまとめています。いずれの英語表現も正式なものではなく、あくまで参考訳であり、その内容に法的効力はないことを念のため申し添えておきます。法的効力を有するのは、実際に紙の官報で日本語で書かれた法令等のみです。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
普段「医薬品医療機器等法」や「薬機法」などと気軽に呼ばれる法律ですが、その正式名称はご存じでしょうか?
医薬品医療機器等法の正式名称は次の通りです。
長いですね。
まずは、正式名称の英語表現を見てみましょう。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices
医薬品医療機器等法 題名(平成27年法律第50号による改正後)
原文は 日本法令外国語訳データベースシステム で直接ご確認いただけます。
元々の法律名が長いですので、英語名も大変長くなっていますね。
法律名を上手く英訳できているかどうか、日本語に再翻訳してみましょう。
直訳すると、「医薬品、医療機器を含む製品の品質、有効性及び安全性を確保することに関する法律」ですね。
日本の法律の名前は長いものが多いですが、上手に英訳されていますね。
感心させられます。
ここで少し余談ですが、医薬品医療機器等法を引用している他の法令では、これとは異なる英語表現をしているものがありました。
表にまとめてみます。
No. | 英語訳 | 引用法律名称 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | the Pharmaceutical Affairs Act | 輸出貿易管理令 | 「薬事法」の英訳のままになっている? |
2 | the Act on the Assurance of the Quality, Effectiveness and Security of Pharmaceuticals and Medical Equipment | 検疫法 | Securing→the Assurance Efficacy→Effectiveness Safety→Security Medical Devices→Medical Equipment |
3 | the Act to Ensure the Quality, Efficacy, and Safety of Pharmaceuticals, Medical Devices, Regenerative and Cellular Therapy Products, Gene Therapy Products, and Cosmetics | 麻薬及び向精神薬取締法 | on Securing→to Ensure 再生医療等製品、化粧品まで表現している 医薬部外品も仲間に入れてあげて~ |
4 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Pharmaceuticals, Medical Devices, Regenerative and Cellular Therapy Products, Gene Therapy Products, and Cosmetics | 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律 | 再生医療等製品、化粧品まで表現している 医薬部外品も仲間に入れてあげて~ |
5 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Pharmaceuticals, Medical Devices, Regenerative and Cellular Therapy Products, Gene Therapy Products, and Cosmetics | 食品表示法 | 再生医療等製品、化粧品まで表現している 医薬部外品も仲間に入れてあげて~ |
6 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Pharmaceuticals, Medical Devices, Regenerative and Cellular Therapy Products, Gene Therapy Products, and Cosmetics | 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 | 再生医療等製品、化粧品まで表現している 医薬部外品も仲間に入れてあげて~ |
7 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Pharmaceuticals, Medical Devices, Regenerative and Cellular Therapy Products, Gene Therapy Products, and Cosmetics | 覚せい剤取締法 | 再生医療等製品、化粧品まで表現している 医薬部外品も仲間に入れてあげて~ |
8 | the Act on Ensuring Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 特定商品等の預託等取引契約に関する法律施行令 | Securing→Ensuring |
9 | the Law on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 放射性同位元素等の規制に関する法律 | Act→Law |
10 | Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 家畜伝染病予防法 | 医薬品医療機器等法と同じ(引用法令なのにtheがない) |
11 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical devices | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 | 医薬品医療機器等法と同じ (dが小文字になっている) |
12 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 予防接種法 | 医薬品医療機器等法と同じ |
13 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 有機畜産物の日本農林規格 | 医薬品医療機器等法と同じ |
14 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律 | 医薬品医療機器等法と同じ |
15 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 日本農林規格等に関する法律 | 医薬品医療機器等法と同じ |
16 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 著作権法 | 医薬品医療機器等法と同じ |
17 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律 | 医薬品医療機器等法と同じ |
18 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令 | 医薬品医療機器等法と同じ |
19 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 食品衛生法 | 医薬品医療機器等法と同じ |
20 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 関税法 | 医薬品医療機器等法と同じ |
21 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 肝炎対策基本法 | 医薬品医療機器等法と同じ |
22 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 医療法施行規則 | 医薬品医療機器等法と同じ |
23 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令 | 医薬品医療機器等法と同じ |
24 | the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices | 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 | 医薬品医療機器等法と同じ |
表1. 医薬品医療機器等法を引用している他の法令での英語表現
他の法令中では、医薬品医療機器等法は引用されていますので先頭に“the”が付いていますね。
“the”の有無や大文字小文字の違いのような軽微なものを除くと、医薬品医療機器等法自身の英訳と明らかに異なる語句を使った表現は、24法令中9つありました(No.1~9)。
なぜこのような違いがあるのか不思議に思い、翻訳に使用されている辞書のバージョンを調べてみましたが特に規則性はありませんでした。
また、各法令の翻訳は所管省庁が実施していますので、省庁ごとに翻訳の仕方があるのかな?と思い確認してみましたが、各省庁ごとに一貫した翻訳の仕方は無さそうでした。
おそらく翻訳担当者によって、翻訳の仕方が変わってきているのでしょう。
法律名は固有名詞ですから、翻訳担当者によって変わらないように、いっそのこと辞書に収載しちゃえばいいのでは?と、ふと思った今日この頃でした。
まぁいずれの英語表現も正式なものではないですし、あくまで参考訳ですので、異なっていたところで「だからどうした」という感じですね。
他の法令のうち15法令は、医薬品医療機器等法の英訳と同じ表現でしたので、多数決を採るとコレが一番正しそうです。もう一度載せておきます。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices
医薬品医療機器等法 題名(平成27年法律第50号による改正後)
原文は 日本法令外国語訳データベースシステム で直接ご確認いただけます。
正式名称とその英語表現についてはもうわかりましたね。
医薬品医療機器等法
次は省略版の「医薬品医療機器等法」の英語表現です。
当サイトでは、文字数制限があるときや正式名称についての解説ページでない限り、なるべく「医薬品医療機器等法」という記載をするように心がけてます。
毎回「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と書くと長すぎて鬱陶しいですし、「薬機法」だと短すぎるからです。
何事も”ちょうどいい”が一番ですね。
でも、理由は、”ちょうどいい”からだけではありません。
「医薬品医療機器等法」という省略形は、法律の中で出てくる正式な省略表現だからです。
そうは言っても、医薬品医療機器等法自身の中では出てきません。(法律が自身のことを指したいときは「この法律」と言いますよね。)
医薬品医療機器等法が他の法律の中で引用されるときに省略形が登場します。
↓こんな感じで「医薬品医療機器等法」という省略形が用いられます。
…については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第十二条第一項(医薬品の製造販売業の許可)の規定による…
同じように他にも、例えば次のような法律で「医薬品医療機器等法」という表現が出てきます。
- 覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)[平成25年法律第84号による改正後]
- 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)[平成25年法律第84号による改正後]
- 登録免許税法(昭和42年法律第35号)[平成25年法律第84号による改正後]
- 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法(昭和62年法律第103号)[平成25年法律第84号による改正後]
- 独立行政法人医薬基盤研究所法(平成16年法律第135号)[平成25年法律第84号による改正後]
- 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)
- 国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)[平成28年法律第55号による改正後]
- 臨床研究法(平成29年法律第16号)
- 健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(平成30年法律第105号)
その中で、覚醒剤取締法については、法令の英語訳が載っていましたのでご紹介します。
…医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)…
…the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Pharmaceuticals, Medical Devices, Regenerative and Cellular Therapy Products, Gene Therapy Products, and Cosmetics (Act No. 145 of 1960) (hereinafter referred to as “Act on Pharmaceuticals and Medical Devices“)
覚せい剤取締法 第3条第1項第1号(平成25年法律第103号による改正後)
原文は 日本法令外国語訳データベースシステム で直接ご確認いただけます。
※「覚せい剤取締法」は令和元年法律第63号により「覚醒剤取締法」に名称が変わっています。(せい→醒)
日本語に再翻訳すると、「医薬品、医療機器に関する法律」です。
医薬品医療機器等法の正式な省略形とその英語表現についてはOKですね。
薬機法
続いては「医薬品医療機器等法」よりもさらに省略された「薬機法」についてです。
正式な省略形は「医薬品医療機器等法」ですが、改正前の「薬事法」と比較すると、まだ少し長く感じますよね。
そこで改正前の「薬事法」と語呂が合う省略形として「薬機法」という言葉が誕生しました。
「薬機法」という表現は、法令中では出てきませんので正式な省略形とは言えませんが、その語呂の良さから日常で一番よく聞く呼び方ですね。
よく社内からも「これ薬機法的に大丈夫かな?」と問合せがあったりします。
(知らんがなと言いたい笑)
はい、それでは「薬機法」の英語表現についてです。
「薬機法」という表現は法令中では出てきませんので、当然のことながら英語表現も示されていません。
さて、どうしたもんでしょう。
仕方ないので、厚生労働省以外の公的な機関による仮訳を参照してみましょう。日本には体外診断用医薬品や医療機器を認証する公的な機関「登録認証機関」があります。
登録認証機関のホームページを調べてみると、医薬品医療機器等法の省略形の表現が載っていましたのでご紹介したいと思います(検索でヒットした順)。
まずは、BSIグループジャパン様のホームページです。
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:医薬品医療機器等法または薬機法 / PMD Act : Pharmaceutical and Medical Device Act)
“医薬品医療機器等法(PMD Act)への準拠により日本市場へのアクセスを得る”
https://www.bsigroup.com/ja-JP/medical-devices/our-services/pmd-act/
利用規約の関係で、BSIグループジャパン株式会社様の トップページリンク を載せておきます。
また、アイシス様のホームページにも同様の英語表現が載っていました。
the Pharmaceutical and Medical Device Act (“PMD Act”)
株式会社アイシス様 会社紹介ページ(English)
http://www.aics-inc.jp/index_en.html
テュフ ラインランド ジャパン様のホームページにも記載がありましたが、コピーライトの関係でここには記載しません。同様にSGSジャパン様のサイトについても、ここには記載しません。
なお、日本品質保証機構様のホームぺージには「PMD Act」とは別の省略形で表現されていましたが、サイトポリシーの関係でここには記載しません。
その他の登録認証機関では、「薬機法」の英語表現を見つけることができませんでした。
調べてみて思ったのが、登録認証機関様のホームページをコピペするのは、利用規約の関係でけっこう難易度が高いなということでした。(英語表現とは関係ないですね。すみません。)
「薬機法」の英語表現については、登録認証機関のホームページを中心に調べてみましたが、情報量が少なく満足した調査結果を得られませんでした。
「薬機法」という言葉はどこにも定義されていないため、色々な英語表現があってもおかしくありませんが、調べた中では「PMD Act」が最もそれらしいなと思いました。
一応こじつけで、「PMD Act」の成り立ちを図示してみましたので、これでご勘弁ください。
以上で「薬機法」の英語表現については終わりたいと思います。
薬事法
最後は改正前の「薬事法」の英語表現です。
調べ疲れましたので、チャチャっといきます。
リサーチしたところ「薬事法」の英語表現は2つ見られました。
最後がActかLawかの違いですね。
外国法令データベースでは、多くが「Pharmaceutical Affairs Act」として登場していました。
一方で、一般の多くの外国語のサイトでは「Pharmaceutical Affairs Law(PAL)」と記載されていました。
「Act」と「Law」の違いについては外国法令データベースの辞書に使い分けが載っていました。
日本法令外国語訳データベースシステム で辞書検索が可能です。
- law [法律一般としての意味の場合]
- Act [法律名に用いる場合]
- Code [いわゆる法典]
【例】民法 Civil Code, 刑法 Penal Code, 商法 Commercial Code…
法律名に用いる場合には「Act」を用いるとのことですので、「Pharmaceutical Affairs Act」が正しいと考えられます。
一方で、多くのサイトで外国人向けの薬事法解説に「Pharmaceutical Affairs Law(PAL)」という表現を使用している傾向がありますので、外国人向けの解説では「Law」のほうがより伝わりやすいと思われます。
どちらにせよ、現在日本で有効な法律の名称は「薬事法」ではなく、
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
- 医薬品医療機器等法
- 薬機法
が正しいですので、それに対応した英語表現を使用することを推奨します。
英語表記のまとめ
本記事では、医薬品医療機器等法の英語表現についてご紹介しました。
見やすいように一覧にすると下表2のようになります。
<日本語> | <英語表記> |
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 | Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices |
医薬品医療機器等法 | Act on Pharmaceuticals and Medical Devices |
薬機法 | PMD act |
薬事法 | Pharmaceutical Affairs Act Pharmaceutical Affairs Law(PAL) |
本記事が読者のみなさまのお役に立てたのなら幸いです。
ありがとうございました。
Thank you very much for reading!!
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