こんにちは、ジンです。
私事で恐縮ですが、最近、会社の組織改編によって部署名が変更となり、名刺を作成し直さなければならなくなりました。
![先輩](https://ivd-note.com/images/SmileBoss.png)
よ~し、GLOBALに裏面を英語にしよう!
![ジン](https://ivd-note.com/images/Webmaster.jpg)
いいですね~英語かっこいい!
![先輩](https://ivd-note.com/images/SmileBoss.png)
OK、決まり!じゃ、あとよろしく
![ジン](https://ivd-note.com/images/Webmaster.jpg)
…えっ?
と、いうわけで、
薬事三役の英語での表記方法を調べることになりましたので、これから名刺のグローバル化を進めようという方々のために軌跡を残します。
本記事は下記のような疑問をお持ちの方にオススメです。
- 総括製造販売責任者は英語でどう書くの?
- 国内品質業務運営責任者は英語でどう書くの?
- 安全管理責任者は英語でどう書くの?
また、管理監督者、管理責任者、製造管理者等の他の権限者の英語表記についても調べましたので、合わせてご紹介します。
※「薬機法」「医薬品医療機器等法」の英語表記についてはコチラでご紹介しています。
※本記事では主として、体外診断用医薬品の製造販売業者・製造業者における権限者の英語表記についてご紹介しています。医薬品や化粧品等の権限者とは一部異なる表記がある可能性がありますので、これらの権限者の英語表記についてはご自身でご確認ください。
ここで調べました
本題に入る前に、まずは出典についてご紹介します。
本記事でご紹介する各権限者については、全て下記の法令中で規定されています。
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下、薬機法)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年2月1日厚生省令第1号。以下、施行規則)
- 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第169号。以下、QMS省令)
- 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(令和3年3月26日 薬生監麻発0326第4号。以下、逐条解説)
ですので、各権限者の英語表記を調査するにあたっては、これらの法令の英語訳を利用すればよいということになります。
実際に参考にした英語訳は下記サイトに掲載されてたものになります。
<法令> | <サイト名・文書名(運営者)> | <URL(外部リンク)> |
薬機法 | 日本法令外国語訳データベースシステム(法務省) | 法令ページへの直リンクです。 |
施行規則 | 日本法令外国語訳データベースシステム(法務省) | 法令ページへの直リンクです。 |
旧QMS省令 | 法令等データベースサービス(厚生労働省) | 法令ページへの直リンクです。 |
新QMS省令 | Ordinance on Standards for Manufacturing Control and Quality Control of Medical Devices and In Vitro Diagnostic Reagents(登録認証機関協議会) | リンク可否確認中 |
逐条解説 | 法令等データベースサービス(厚生労働省) | 通知ページへの直リンクです。 |
「日本法令外国語訳データベースシステム」は法務省が開設、運営しているサイトで、各省庁が翻訳した法令をサイト内で公開しています。
「法令等データベースサービス」は厚生労働省が開設、運営しているサイトで、厚生労働省所管の法令・通知・公示等の一部をサイト内で公開しています。
「登録認証機関協議会」は、薬機法第23条の2の23に規定されている「登録認証機関」の集まりです。記事公開日時点では、登録されている11社の「登録認証機関」からなる組織体です。
上の表1中の「旧QMS省令」は医薬品承認の主体が製造業者だった頃の初期のQMS省令を、「新QMS省令」は主体が製造販売業者に変わった後のQMS省令を示しています。
<免責>
※いずれのサイト、文書で掲載されていた英語訳も正式なものではなく、あくまで参考訳であり、その内容に法的効力はないことを念のため申し添えておきます。
※法的効力のある法令については、実際の紙の官報で確認することが出来ます。
権限者の英語表記
それでは、しっかりと免責が出来たところで、
早速、各権限者の英語表記についてみていきましょう!
総括製造販売責任者の英語表記
まずは、総括製造販売責任者についてです。
総括製造販売責任者は、
製造管理及び品質管理並びに製造販売後安全管理を行う者
として、薬機法で規定されています。
詳細には、薬機法第23条の2の14に「医療機器等総括製造販売責任者」という言葉で書かれています。
医療機器等総括製造販売責任者は、薬機法だけでなく施行規則や新QMS省令の中でもでてきますので、3つの法令を比べてみましょう。
(旧薬事法の時代には製造販売業の概念がなかったため、旧QMS省令には総括製造販売責任者という言葉は登場していません。)
薬機法(第23条の2の14) | marketing director of medical devices |
施行規則(第114条の50) | marketing director of medical devices, etc. |
新QMS省令(第71条) | general marketing supervisor of medical devices, etc. |
表2中のマーカー部分がそれぞれ総括製造販売責任者に相当する英訳と思われます。
会社にいる英語が得意な先輩に聞いたところ、
- 「director」は重役っぽいイメージ
- 「supervisor」は現場監督っぽい
とのことでした。
上で書いたように参考訳には法的効力はありませんので、どちらを採用してもいいと思います。
もちろん、もっと外国の方に伝わりやすい表現があるのであれば、それでもいいと思います。
かくいう筆者は
「general(ジェネラル)」と「supervisor(スーパーバイザー)」の
言葉の響きが非常に気に入りましたので「general marketing supervisor」を第一候補としました。
あとは「marketing director」だと、販売部門を掌握する取締役、みたいなイメージがわいてきましたので、なんとなく違う気がしました(あくまで個人的な意見です。笑)。
国内品質業務運営責任者の英語表記
続きまして、国内品質業務運営責任者についてです。
国内品質業務運営責任者は、
医療機器又は体外診断用医薬品の国内における品質管理に関する業務の責任者
として、施行規則第114条の50で規定されています。
また、新QMS省令中にもでてきますので、2つの法令を比べてみましょう。
(総括製造販売責任者と同様に、旧QMS省令には国内品質業務運営責任者という言葉は登場しません。)
施行規則(第114条の50) | domestic quality assurance administrator |
新QMS省令(第72条) | domestic quality assurance manager |
今度は「administrator」と「manager」の違いがありますね。
またまた、会社にいる英語が得意な先輩に聞いたところ、
- 「administrator」は行政機関の管理者
- 「manager」は現場の責任者っぽい
とのことでした。
筆者の所属する会社は行政機関でもなんでもありませんので、
先輩の英語能力を信じるのであれば「domestic quality assurance manager」が適しているのかなぁと思いました。
安全管理責任者の英語表記
どんどん行きましょう、安全管理責任者についてです。
安全管理責任者は、
製造販売後安全管理に関する業務の責任者
として、施行規則で規定されています。
より詳細には、施行規則第114条の50に「医療機器等安全管理責任者」という言葉で書かれています。
医療機器等安全管理責任者は、薬機法やQMS省令中にはでてきませんので、施行規則を確認しましょう。
GVP省令には確か出てきていた気がしますが、GVP省令の英訳は見つかりませんでした。
施行規則(第114条の50) | safety control manager of medical devices, etc. |
マーカー部分の「safety control manager」が安全管理責任者に相当する部分と思われます。
筆者は安全管理責任者ではありませんので、このくらいの手抜き感でとどめておきましょう。
製造管理者の英語表記
続いては、製造管理者についてです。
製造管理者は、
体外診断用医薬品の製造を実地に管理する者
として、薬機法で規定されています。
より詳細には薬機法第23条の2の14に「体外診断用医薬品製造管理者」という言葉で書かれています。
体外診断用医薬品製造管理者は、薬機法だけでなく施行規則中でもでてくるほか、平成26年改正前の「旧QMS省令」でも「医薬品製造管理者」という言葉で登場します。
(新QMS省令では、品質管理・製造管理の主体が製造販売業者に変わったので、製造管理者という言葉は出てこなくなりました。)
薬機法(第23条の2の14) | manufacturing supervisor of in-vitro diagnostics |
施行規則(第114条の51) | manufacturing supervisor of in-vitro diagnostics |
旧QMS省令(第80条) | drug manufacturing manager |
薬機法・新QMS省令では「manufacturing supervisor」、旧QMS省令では「manufacturing manager」の2通りありますが、旧QMS省令中の記載は新QMS省令への移行時に削除されていますので、
製造管理者については、現行薬機法・新QMS省令の訳「manufacturing supervisor」を採用しようと思います。
管理責任者の英語表記
どんどん行きましょう、管理責任者についてです。
管理責任者は、
製造販売業者等の品質管理監督システムの実施及び維持の責任者
として、新QMS省令で規定されています。
また余談ですが、管理責任者は、製造販売業者等の役員、管理職の地位にある者その他これに相当する者でなくてはなりません。
管理責任者は、薬機法や施行規則中にはでてきませんので、QMS省令を確認しましょう。
(総括製造販売責任者と同様に、旧QMS省令には管理責任者という言葉は登場しません。)
新QMS省令(各所) | management representative |
逐条解説(第16条関係) | management representative |
管理責任者については、「management representative」がそれに相当する英訳のようです。
また、QMS省令の元となったISO13485の規格でも、「management representative」として記載されていますので、管理責任者の英訳としてはこれで正しいような気がします。
管理監督者の英語表記
お次は、管理監督者についてです。
管理監督者は、
製造販売業者等の品質管理監督システムに係る業務を最上位で管理監督する役員等
として、QMS省令で規定されています。
管理監督者は、薬機法や施行規則中にはでてきませんので、QMS省令を確認しましょう。
(管理監督者については、旧QMS省令時代から登場してきています。)
旧QMS省令(第2条) 新QMS省令(第2条) | top management |
「トップマネジメント」いい響きですね。
QMS省令の元となったISO13485の規格でも、「top management」として記載されていますので、管理監督者の英訳としてはこれで問題ないでしょう。
権限者の英語表記(おまけ)
ここまでは体外診断用医薬品の製造販売業者や製造業者における各権限者の英訳を見てきました。
本記事をここまでお読みいただいた読者の中には、医薬品や化粧品、医療機器、再生医療等製品などの関係者もおられることかと思いますので、
製造販売業で出てくる「品質保証責任者」と、製造業で出てくる「責任技術者」の英訳についても見ていきたいと思います。
品質保証責任者の英語表記
それでは、品質保証責任者についてです。
品質保証責任者は、
品質管理業務の責任者
として、「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136号。以下、GQP省令)」で規定されています。
筆者はGQP省令についてあまり詳しくはありませんが、
医薬品や医薬部外品、化粧品、再生医療等製品の製造販売業における品質管理業務の責任者という位置づけのようです。
また、施行規則にも少しだけ登場しますので、「品質保証責任者」については施行規則とGQP省令関連の英訳を確認すれば良さそうです。
GQP省令関連については下の2つの通知が参考になりそうです。
- 平成17年9月9日(事務連絡)「GQP省令、医薬品・医薬部外品GMP省令、機器・体外診QMS省令及び構造設備規則の仮英訳について」
- 平成17年4月4日(日薬連発第224号)「製造販売業者と製造業者の取決め見本英語版について」
抜き出してみると次の表のようになりました。
施行規則 | 医薬品等品質保証責任者 | quality assurance manager of pharmaceuticals, etc. |
事務連絡 | 品質保証責任者 | quality assurance manager |
日薬連発第224号 | 品質保証責任者 | quality assurance supervisor |
施行規則や厚生労働省の事務連絡によると「quality assurance manager」、日本製薬団体連合会の通知によると「quality assurance supervisor」となっていました。
両方とも参考訳の位置付けですのでどちらを採用してもよいと思いますが、厚生労働省の方が格上ですので「長い物には巻かれろ」の精神で、managerのほうがいいのかなあと思います。
上で出てきた「domestic quality assurance manager(国内品質業務運営責任者)」と似ていますね。
責任技術者の英語表記
いよいよ最後は、責任技術者についてです。
責任技術者は、製造管理者とほぼ同じですが、
医療機器の製造を実地に管理する者(医療機器責任技術者)
医薬部外品又は化粧品の製造を実地に管理する者(医薬部外品等責任技術者)
として、薬機法で規定されています。
言葉は同じですので、以下「医療機器責任技術者」について書きます。
「医療機器責任技術者」という言葉は薬機法第23条の2の14で登場します。
医療機器責任技術者は製造管理者同様、薬機法だけでなく施行規則中でもでてくるほか、平成26年改正前の「旧QMS省令」でも単に「責任技術者」という言葉で登場します。
薬機法(第23条の2の14) | technical supervisor of medical devices |
施行規則(第114条の51) | technical supervisor of medical devices |
旧QMS省令(第80条) | responsible engineering manager |
「technical supervisor」と「responsible engineering manager」の2通りありますが、旧QMS省令中の記載は改正によって削除されていますので、
責任技術者についても、現行薬機法の訳「technical supervisor」を採用で問題ないと思います。
(responsible engineering managerとか、モロ直訳っぽいですし笑)
製造管理者「manufacturing supervisor」と似ていますね。
他社の名刺ではこうだった
ここまでは、公的な機関が英訳した法令をもとに各権限者の英語表記についてご紹介してきました。
では実際のところはどうなの?ということで、
筆者がこれまでにいただいた御名刺の例をいくつかご紹介したいと思います。
(名刺には個人情報がガッツリ含まれますので、役職のみの公開です。)
名刺の表記(日本語) | 名刺の表記(英語) | 公的な機関の英訳 |
国内品質業務運営責任者 | Quality Assurance Supervisor | domestic quality assurance manager |
総括製造販売責任者 | Marketing Director of IVDs | ・general marketing supervisor ・marketing director |
管理責任者 | Management Representative | management representative |
実際の例が少ないですが、独自の記載をしている方もいれば、公的な機関の英訳に準じている方もいて、意外とみなさん自由にやられているな~という印象を受けました。
それともうひとつ、たくさんの御名刺を確認してきて感じたことは、裏面を英語にしている方は当初思っていたほど多くはなかったということです。
100枚程度を確認しましたが、裏面が英語になっているのは30枚ほどでした。
私の名刺はこうなった
と、ここまで色々と法令の英訳を調べたり、他社の御名刺を確認してきましたが、
最終的に私の名刺はこうなった、ということでご紹介したいと思います。
例によって個人情報が含まれますので、役職以外はぼやかした記載になっています。
![](https://ivd-note.com/images/NameCard-292x300.jpg)
筆者の場合は、総括製造販売責任者と製造管理者を兼務していますので、
「general marketing supervisor・manufacturing supervisor」としたいところでしたが、
![先輩](https://ivd-note.com/images/SmileBoss.png)
何か、カオス
ということで「General Manager of Production and Sales」と綺麗にまとめられました。
もう一つ兼務している国内品質業務運営責任者については
![先輩](https://ivd-note.com/images/SmileBoss.png)
あーもー、考えるの疲れた
のひとことで、公的な機関の「domestic quality assurance manager」をそのまま拝借しました。
「Pharmacist(薬剤師)」については、無理やり、盛りこんでもらいました。
(欧米ではPharmacistは絶大な尊敬のまなざしで見られると聞いたことがあるので。笑)
そんなこんなで名刺が出来上がりましたが、筆者自身、英語面がとても気に入っています。
英語圏の方とお会いする機会は皆無ですが…。
英語もほとんどしゃべれませんが…。
いつか使ってみたい言葉リストに登録しておきます。
![ジン](https://ivd-note.com/images/Webmaster.jpg)
This is my Name Card!!
英語表記のまとめ
長文でしたがお疲れさまでした。
本記事では、薬機法に出てくる責任者の英語での表現についてご紹介しました。
見やすいように一覧にすると下表11のようになります。
<責任者> | <英語表記> | <外部参考リンク先> |
管理監督者 | top management | 通知ページへの直リンクです(逐条解説) |
管理責任者 | management representative | 通知ページへの直リンクです(逐条解説) |
総括製造販売責任者 | general marketing supervisor | 法令ページへの直リンクです(薬機法) |
国内品質業務運営責任者 | domestic quality assurance manager | 法令ページへの直リンクです(施行規則) |
(品質保証責任者) | quality assurance manager | 法令ページへの直リンクです(施行規則) |
安全管理責任者 | safety control manager | 法令ページへの直リンクです(施行規則) |
製造管理者 | manufacturing supervisor | 法令ページへの直リンクです(薬機法) |
(責任技術者) | technical supervisor | 法令ページへの直リンクです(薬機法) |
本記事が読者のみなさまのお役に立てたのなら幸いです。
ありがとうございました。
![ジン](https://ivd-note.com/images/Webmaster.jpg)
This is my Name Card!!
↑いい加減うるさいね(笑)でも、絶対言ってやる。
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