2022年1月毒劇物改正を徹底解説!チメロサール、テフルトリン、等4物質

毒劇物規制
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体外診断用医薬品は「毒物及び劇物取締法」の対象から外れています。

一方で、標準品単体等の研究用試薬として流通させているもの(体外診断用医薬品に該当しないもの)については、毒物または劇物に該当する場合には「毒物及び劇物取締法」の規制を受けることになります。

先日2022年1月28日付けで、

  • 毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令(令和4年政令第36号)
  • 毒物及び劇物取締法施行規則の一部を改正する規則(令和4年厚生労働省令第17号)

が公布されました。

今回の改正では、

  • 新たに劇物に指定(1物質)
  • もともと毒物だったものを一部濃度により劇物に指定(1物質)
  • 毒物劇物を分ける濃度が変更(1物質)
  • 劇物から除外(1物質)

等の、全部で4物質について変更がありました。

図1. 改正の概要(令和4年政令第36号、令和4年厚生労働省令第17号)

今回の改正について詳しく調べましたので、備忘録がてらまとめてみたいと思います。

本ページでは大人の事情で、CAS登録番号(CAS RN®)は掲載していません。

ジン
ジン

ライセンスがないと掲載できないんせんす(小声)

該当する物質のCAS登録番号は、厚生労働省の局長通知(厚生労働省法令等データベースサービス)に記載がありますのでご確認ください。

ジン
ジン

厚労省の通知等「公的な文書」に掲載する場合はライセンス不要なんせん

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新たに劇物に指定 4-メチルベンゼンスルホン酸

まずは、新たに劇物に指定された物質からです。
今回の改正で、4-メチルベンゼンスルホン酸及びその製剤が劇物に指定されました。

法令名(毒物及び劇物取締法)
4-メチルベンゼンスルホン酸

別名
パラメチルベンゼンスルホン酸

製剤については、0.5%を超えるもののみが劇物に該当し、
0.5%以下の濃度を含有する製剤については、毒劇対象外となります。

図2. 4-メチルベンゼンスルホン酸

施行日は、2022年2月1日になります。

 

4-メチルベンゼンスルホン酸の劇物指定については一部の規定で経過措置期間(2022年4月30日まで)が定められています。

施行日時点で製造・輸入・販売実態がある場合には、経過措置期間中は、法第3条、第7条、第9条の規定は適用されません。

経過措置期間が終わってから適用されますので、それまでに、

  • 業登録を取得していない場合には、
    • 業登録を取得(法第3条)
    • 毒物劇物取扱責任者の設置、届出(法第7条)
  • 業登録を既に取得している場合には、
    • 取扱品目の変更の登録(法第9条)

を済ませておく必要があります。

図に起こすとこんな感じです↓↓

図3. 経過措置(登録関係)

 

また、施行日時点で現に存する製品(メーカー在庫、流通在庫、社内在庫)については、経過措置期間中は、法第12条第1項、第22条第5項で準用する第12条第1項、第12条第2項の規定は適用されません。

経過措置期間終了後から適用されますので、それまでに、

  • 「医薬用外劇物」の表示(法第12条第1項、第22条第5項で準用する第12条第1項)
  • 「劇物の名称」「劇物の成分、含量」等の表示(法第12条第2項)

を容器と被包に施さなくてはなりません。

この経過措置規定は、施行日時点で現に存する製品(メーカー在庫、流通在庫、社内在庫)のみが対象であり、
経過措置期間中に新たに製造等されたものについては、経過措置は適用されません

図4. 経過措置(容器表示関係)

 

なお、経過措置規定で定められた条項は

  • 業登録を取得(法第3条)
  • 毒物劇物取扱責任者の設置(法第7条)
  • 取扱品目の変更の登録(法第9条)
  • 容器に「医薬用外劇物」を表示(法第12条第1項、第22条第5項で準用する第12条第1項)
  • 容器に「劇物の名称」「劇物の成分、含量」等を表示(法第12条第2項)

上記のみです。

上記以外の条項については経過措置規定はなく、施行日2022年2月1日から適用されていますのでご注意ください。

 

<経過措置がない例(2022年2月1日から適用されます)>

  • 貯蔵や陳列をする場所に「医薬用外劇物」を表示(法第12条第3項、第22条第5項で準用する第12条第3項)
  • 劇物の譲渡手続(法第14条)
  • 18歳未満には譲渡不可(法第15条)
  • 廃棄方法(法第15条の2)
  • 運搬等についての技術上の基準(法第16条)

もともと毒物だったものを一部濃度により劇物に指定 チメロサール

2つ目は、もともと「水銀化合物」として毒物に指定されていたチメロサールです。

法令名(毒物及び劇物取締法)
[(2-カルボキシラトフエニル)チオ](エチル)水銀ナトリウム

通称名
チメロサール

今回の改正で、0.1%以下のものは劇物、0.1%を超えるものは毒物と、含量によって区分けされました。

図5. チメロサール

施行日は、2022年2月1日になります。

チメロサールはもともと毒物に指定されていましたので、既に「医薬用外毒物」の表示がされていると思います。
ですので、>0.1%含有品(毒物)は、改正後もそのまま「医薬用外毒物」の表示で問題ありませんね。

一方で、≦0.1%含有品は改正によって劇物に変わりますので、 「医薬用外毒物」の表示を消して、新たに「医薬用外劇物」と表示しなくてはなりません。
この表示の切り替えについては、2022年4月30日までの経過措置期間が定められています。

施行日時点で現に存する製品(メーカー在庫、流通在庫、社内在庫)については、経過措置期間中は、「医薬用外毒物」の表示がされていても問題ありません。

図6. 経過措置(容器表示関係)

図6. 経過措置(容器表示関係)

経過措置期間終了後からは「医薬用外劇物」へ表示が必須になりますので、それまでに切り替えなくてはなりません。

この経過措置規定は、施行日時点で現に存する製品(メーカー在庫、流通在庫、社内在庫)のみが対象であり、経過措置期間中に新たに製造等(社内での小分けを含む)されたものについては、 「医薬用外劇物」と正しく表示されている必要があります

毒物劇物を分ける濃度が変更 テフルトリン

3つ目は、テフルトリンです。

法令名(毒物及び劇物取締法)
2,3,5,6-テトラフルオロ-4-メチルベンジル=(Z)-(1RS,3RS)-3-(2-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシラート

通称名
テフルトリン

テフルトリンは、改正前の区分け値は0.5%で、これを超えるものは毒物、これ以下のものは劇物、というような運用がされていました。

今回の改正後は、1.5%を超えるものは毒物、1.5%以下のものは劇物となり、劇物の範囲が増えた形になります。

図7. テフルトリン

施行日は、2022年2月1日になります。

テフルトリンはもともと毒物または劇物に指定されていましたので、既に「医薬用外毒物」または 「医薬用外劇物」の表示がされていると思います。

このうち、0.5%を超えていて1.5%以下(0.5%< x ≦1.5%)の含有品は改正によって毒物から劇物に変わりますので、 「医薬用外毒物」の表示を消して、新たに「医薬用外劇物」と表示しなくてはなりません。

図8. テフルトリン0.5%< x ≦1.5%のみ規制区分変更

この表示の切り替えについては、2022年4月30日までの経過措置期間が定められています。

施行日時点で現に存する製品(メーカー在庫、流通在庫、社内在庫)については、経過措置期間中は、「医薬用外毒物」の表示がされていても問題ありません。

図9. 経過措置(容器表示関係)

図9. 経過措置(容器表示関係)

経過措置期間終了後からは「医薬用外劇物」へ表示が必須になりますので、それまでに切り替えなくてはなりません。

この経過措置規定は、施行日時点で現に存する製品(メーカー在庫、流通在庫、社内在庫)のみが対象であり、経過措置期間中に新たに製造等された製品については、 「医薬用外劇物」と正しく表示されている必要があります

 

テフルトリンについては、農業用品目(農業上必要な毒物又は劇物)にも指定されていますので、こちらも同様に、濃度の区分け値が0.5%から1.5%に変更されています。
毒物及び劇物取締法施行規則の一部を改正する規則(令和4年厚生労働省令第17号)

農業用品目の毒劇物表示の経過措置期間も、同じく2022年4月30日までです。

劇物から除外 1,2-ジ(2-{4-[2-(2-メチルプロポキシ)カルボニル-2-シアノ エテニル]フエニルチオ}エトキシ)エタン

最後、4つ目は、劇物に指定されていた物質です。

法令名(毒物及び劇物取締法)
1,2-ジ(2-{4-[2-(2-メチルプロポキシ)カルボニル-2-シアノ エテニル]フエニルチオ}エトキシ)エタン

ジン
ジン

通称名がないと名前が覚えられないのは私だけでしょうか…

今回の改正で、劇物から指定が解除され、一般的な物質と同じように取り扱えるようになりました。

図10. 1,2-ジ(2-{4-[2-(2-メチルプロポキシ)カルボニル-2-シアノ エテニル]フエニルチオ}エトキシ)エタン

施行日は、公布日の2022年1月28日になります。

ジン
ジン

この物質だけ施行日が異なりますね。

この物質はもともと劇物に指定されていましたので、既に「医薬用外劇物」の表示がされていると思います。

今回の改正によって劇物ではなくなるので 「医薬用外劇物」の表示を消す必要があります。

この表示の切り替えについては、経過措置期間が定められていません。
なぜでしょうか?

表示に関する法律の条文を見てみましょう。

毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物の容器及び被包に、「医薬用外」の文字及び毒物については赤地に白色をもつて「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなければならない。

毒物及び劇物取締法 第12条第1項
原文は 総務省 e-gov法令検索 でご確認いただけます。

つまり、

  • 劇物には「医薬用外劇物」と表示しなさい
  • 毒物には「医薬用外毒物」と表示しなさい

という風に、該当する場合の表示義務が定められています。

裏を返せば、該当しない場合の非表示義務はありません

だから経過措置期間が定められていないのです。

とはいえ、だからといって、
漫然と毒劇物表示をしたままにしておくのもよろしくありません。

毒劇物に該当しないものに対して毒劇物の表示がされていると、購入者(使用者)側の混乱を引き起こす可能性もありますし、誤認させるような表示と受けとられてしまう可能性もあるかもしれません。

これらを防ぐためにも毒劇物の対象から外れた場合には、可及的速やかな毒劇物表示の削除が推奨されます。

まとめ

以上、2022年1月に改正された毒物劇物についてでした。

今回の改正では、全部で4つの物質の毒劇区分が変更されました。

  • 新たに劇物に指定(1物質)
  • もともと毒物だったものを一部濃度により劇物に指定(1物質)
  • 毒物劇物を分ける濃度が変更(1物質)
  • 劇物から除外(1物質)
図1(再掲). 改正の概要(令和4年政令第36号、令和4年厚生労働省令第17号)

経過措置期間がいつまでなのか、経過措置で免除になる規定・免除にならない規定等
注意することはたくさんあります。

法令遵守に努めたいと思います。

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